情報の価値について
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概要
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菅[2002]の数値例を使って、情報にノイズが含まれない場合の情報の価値について考えてみる。情報の価値を計る伝統的な方法の一つに、その情報が付加する期待最大利潤をもってその情報の価値とするという考え方がある。本稿ではこの伝統にしたがって、独占的にワインを製造販売するワイン業者が顧客を見分ける情報の経済的価値をいかに評価するかについて簡単な数値例を用いて議論した。さらには完全差別化を行うワイン業者の行動を情報および知識の側面から分析することによって、独占的利潤の源泉としての知識および情報の果たす役割を明らかにすると同時に、その知識や情報の経済的価値を具体的な数値例を用いることによって大小比較が可能となった。独占的利潤の情報的基盤を商品の品揃えに関する知識と顧客を識別する情報の二つに分類し、それぞれについてその価値を計ってみた。われわれの分析では、まず完全差別化のための品揃えの知識は持っているが、顧客の特性に関する情報を持たないワイン業者を考えて、品揃えをまねることが付加する期待利潤を求めた。その後で、顧客に関するワンセットの情報と断片的な情報の価値を求めた。