『正倉院文書』における助数詞研究
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概要
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『正倉院文書』における数量表現には,原則として"単位(狭義)"と"助数詞"とが用いられる。これは偶々のことではなく,それが"文書(及び,記録)"という資料の性格下にあるからである。文書では,統一的な様式下における精確な数量表現が必要とされたのであり,"助数詞"は,その一翼を担う"文書語"の一端であるといってよい。日本の文書は,中国古代の影響を受けており,日本語助数詞も,そうした中国古代におけるところと関わりはあろう。しかし,個々にその祖形を求める段になると,中々適当な用例が得られない。それが存在しなかったのではなく,それが伝えられなかった,または,書き言葉として文字化されなかったということかも知れない。調査も十分とは言い切れない。が,あるいは,その祖形をいきなり中国に求めるところに無理があるのであろう。7,8世紀以前の助数詞は,朝鮮半島を介し,また,その人々により,漢籍・仏典の読誦の場とは異なる"文書作成"の場を通じて,伝えられたのではないか。朝鮮半島における古代の文献・資料には限界があって,これらの点についても,検証することは容易でないが,資料によっては示唆されるところもあるようである。中国から,直接的に助数詞(量詞)が伝えられたのは,遣唐使も最盛期を迎えた(7〜)8世紀のこと,やはり,"文書作成"の場を通じてのことであろう。彼らによってもたらされた,この当代的な助数詞は,それまでの助数詞を古いものとして排除しようとした節もある。この唐代文化受容期の真っ只中には,既に和風の助数詞も生まれている。『正倉院文書』においては,古い半島経由の助数詞,唐の都から来た新しい助数詞,日本で生まれた助数詞の三つのグループが入り混じって行われている。(具体例省略)
- 2001-03-31
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