医療用洗浄剤と消毒剤による医療器材への影響
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概要
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〔はじめに〕医療現場における使用済み医療器材に対する洗浄は,その重要さが近年見直されてきており,院内感染防止とともに新旧様々な洗浄剤,消毒剤および洗浄装置が用いられるようになってきている.これらは再利用可能な医療器材にとって,より過酷な条件への耐性を求められることになる.今回,われわれは浸漬法により使用されている洗浄剤・消毒剤および溶剤の使用条件が医療用鋼製小物にどのような影響を及ぼすかを調査したので報告する.〔材料〕医療用鋼製小物を代表する止血鉗子,外科剪刀,外科鑷子について国内外メーカ3社の製品をテストピース(以下,TP)とした.浸漬液は洗浄剤として中性洗浄剤,(中性の)酵素洗浄剤,(弱アルカリ性)酵素洗浄剤,アルカリ性洗浄剤を用い,消毒剤としてグルタラール系消毒剤,ヨウ素系消毒剤を用いた.コントロールとして精製水を用い,その他に市水,生理食塩水を用いた.〔方法〕精製水および市水と生理食塩水にはTPの先端から2/3までを浸漬する部分浸漬法を用いた.洗浄剤と消毒剤はTPに血液を付着させ,乾燥後にTPを完全浸清させ,浸漬時間と不具合発生の関係を観察した〔結果〕今回用いた洗浄剤および消毒剤では説明書に記載された指定浸漬時間内ではTPにサビ発生等の不具合を認めなかった.TPへの不具合を発生させたものは,(1)生理食塩水への浸漬によるサビの発生,(2)血液が乾燥した後にヨウ素系消毒剤に浸漬したTPにサビの発生,(3)指定浸漬時間を超えて浸漬を続けたTPにサビの発生を認めた.〔まとめ〕鋼製小物が苦手とする溶剤や血液の付着はサビを発生させるので,早い段階で取り除くこと.洗浄剤・消毒剤の使用においてはメーカ指定事項を守ることが鋼製小物を長く安全に使用するための必須要件である.
- 2003-04-01