手術室HEPAフィルタの残留ホルマリン濃度に関する問題点
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概要
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〔目的〕今日,ハイテク技術を駆使した近代的な病院が多くなった.中でも省エネルギの観点から断熱効率のよい新建材の使用で有害ホルムアルデヒドの発生や,内装した壁面からの揮発性の有機化学物質の揮散や,喫煙での有害物質が換気量の減少で室内汚染を広げている.手術室においてはクリーンルームの最終フィルタにHEPAフィルタが使われており,エレメントの濾材はポリエステルまたは不織布に大別されるが,ホルムアルデヒドの浄化には役立たない.さらに,ポリエステル製HEPAフィルタは水洗が可能であるため,再利用している医療機関があるが,HEAPフィルタに吸着したホルムアルデヒドを完全に洗い落とすことができないのが現状である.市販の空気清浄機としてプラズマULPAフィルタが使われているが,交換時期,ランニングコストで手術用HEPAフィルタとしての応用は厳しい.今回,光触媒効果を応用で室内におけるホルムアルデヒドの浄化が可能で,人にやさしい紙,エアクリーンペーパー【○!R】(平和紙業社製)より製品化されたので,空気浄化試験でその性能を確認した.〔方法〕ジェットフォグを使い20ppmのホルムアルデヒドガスで手術室を薫蒸して,3時間後,初気流の吹き出し口にエアクリーンペーパー【○!R】を取り付け,以後3時間ごとに残留ホルムアルデヒド濃度を測定した.〔結果〕ホルムアルデヒドの残留濃度は,3時間後lOppm,6時間後5ppm,9時間後O〜5ppm,12時間後Oに近いppm,15時間後Oに近いppm.18時間後,21時間後,24時間後O近いppmであった.〔考察〕今回使った簡易残留ホルマリン濃度測定器は肉眼比色のため5ppm〜Oppmの間の判定まではきでなかった.平和紙業の計測データから蛍光灯の紫外線量で効力が発生することから,エアクリーンペーパー【○!R】の設置には重層がよいことが推測される.
- 2003-04-01