手術室の環境整備
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概要
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現在手術室のあり方は,内視鏡手術の増加等により変化が求められている.また一般の手術においても室内で使用するME機器は増加の傾向にある.手術室を設計する際には手術室としての機能を満たしながら,こうした医療の流れにも対応していく必要がある.手術室には基本的に「治療」とそれに伴う「感染防止」という2つの性能が求められる.「治療」とは,その手術室の用途に合った適切な面積の設定や,医療ガスや電気設備の整備である.特に電気設備については,近年ME機器の増加やそれぞれの機器が必要とする電気容量が増えていることもあり,室内電気容量やコンセントの設置位置等を十分に検討する必要がある.「感染防止」とは,クリーン空調システムによる清浄な空気層流の確保や清掃を行いやすい内装設備を指す.空調システムは特に,各室ごとに温度や湿度が管理できることが望ましい.空調システムについては, 室内の清浄度(微粒子・温湿度・麻酔ガス濃度等)を常時観測し,その結果を空調機に連動させる環境支援システムも開発され,いくつかの病院では導入が検討されている.このシステムはさらに,室内の電気の使用状況等を計測し,手術室の設備全体を監視しながら,危険がある時には警報を発することも可能である.一方,内視鏡下においては手術件数は増加の傾向にある.内視鏡手術を行う場合,システムをカートまたはシーリングペンダントに搭載して行っている.また最近では内視鏡支援ロボットも開発されているが,こうした手術室は一般外科の手術室よりも広い面積を必要とする.その他にも,大学病院ではロボット手術を導入したり,CTやMRIを設置した手術室の施工事例も報告されており,建物としての手術室も,常に新しく開発される医療技術にフレキシブルに対応できるように備えておく必要がある.
- 日本医療機器学会の論文
- 2003-04-01