手術室としてのシステムを考える
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概要
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近年,内視鏡手術の件数は増加の傾向にある.また,これに合わせて内視鏡手術支援ロボットの誕生も最近話題を呼んでいる.医療技術が高度な進歩を遂げる中,工学の技術がさらにその範囲を広げてきている.新設の手術室には画像システム端末,生体情報端末,先進医療機器などが組み込まれるようになってきており,その変化は目まぐるしい.より正確な情報を,よりリアルタイムに把握できるシステムが求められ,手術室のレイアウト自体も徐々に変化を求められるようになってきた.しかし,実際の手術室はどうであろうか.画像システム関連機器のエリア,内視鏡関連装置のエリアなど,各システムに分散された配置がほとんどである.これは手術室のレイアウトを考える際に,院内全体での各システムの端末として手術室に配置されてきているからではないだろうか.手術室の中へは個別の端末が配置されているだけで,手術室としてのシステム化は図られていないように思われる.必要設備としては揃っているのであろうが,それを必要とする人,あるいは操作する人は誰なのかが問われるべきである.手術室の施工を行うスタッフが医療従事者の意見を採り入れ室内レイアウトを行う.そのレイアウトに要望の出た画像システムや情報端末が各専門家によってそれぞれ配置されていく.モニタなどの情報を見る機器は医療従事者の意見でレイアウトに反映されるが,操作の必要な機器はそれに追従する形で配置されてしまう.その操作を担うスタッフは手術室の中を動き回らなければならない.医学と工学の技術革新により生まれてきた新しい手術環境に,手術室を造るという建築分野も連携をとることにより,より高度で効率の良い医療現場を提供して行くことが可能となる.今後,手術支援ロボットなども手術室での使用が一般的になってくると思われる.その時に,それらの機器を収容する手術室ではなく,それらの機器を最大限に活用できる手術室を目指していく必要がある.
- 日本医療機器学会の論文
- 2003-04-01
著者
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