乳化油と其の工業上の應用に就て : 第一バネの燒入(第一報)
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概要
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從來彈機焼入方法に2種類がある、一つは所要焼入温度より種油或は雜魚油に焼入し更に所要焼戻温度に加熱する所謂二段操作焼入方法で、他の一つは所要焼入温度より種油或は雜魚油に投入し彈機が未だ冷却途上にある時に引き上げ、其の際バネに附着した油がバネの餘熱によりて燃焼して焼戻作用をなす所謂一段操作焼入方法である。前者は焼入及焼戻の爲に2囘の加熱を必要とし、後者は1囘の加熱にて充分であるが、油中よりバネを引き上げる適當の時機を選定するは非常に困難の事に屬するので往々にして製品にムラを生ずる虞がある。本研究は從來の如く焼入液として高價なる種油或は雜魚油を使用せず焼入液として新規に發明された特殊の乳化油を使用するもので、焼入液としての乳化油の性質を詳らかにし且つバネの焼入作業の能率増進を計るものである。即ち本研究の焼入方法に從へばバネを所要焼入温度より乳化油に投入冷却するのみの僅か1囘の操作にて良好なるバネ製品を得る事が出來て、作業能率の増進は固より製品の品質統一上且つは車輛保守上より考へて利するところ甚大である。
- 一般社団法人日本機械学会の論文