既成鑄鐵の耐磨耗性増加の研究
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概要
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本文ほ鑄鐵の組織竝に機械的性質を變へずに、耐磨耗性のみを著しく増す方法に就て述べたものである。先づ熱處理した各種鑄鐵の機械的性質、顯微鏡組織及び耐磨耗性を調査した。其の結果鑄鐵は空気中で500℃に焼鈍せば耐磨耗性は著しく増すが、組織竝に機械的性質は殆ど變らぬ事が明かに成つた。次に眞空中又は水素、窒素等の非酸化性瓦斯中で同様に焼鈍しても、耐磨耗性を増す效果は少しもない事から、此の現象は空中酸素の爲めに起る鑄鐵内部の酸化に因るものなる事を指摘し、且つ耐磨耗性を増す機構に就て論じた。最後に鑄鐵の耐磨耗性を増す一方法として、鑄鐵の黒鉛層に沿つた鐵の面に、例へば酸化鐵の如き鐵化合皮膜を構成させる事を提唱した。
- 一般社団法人日本機械学会の論文
- 1932-12-01