金屬材料中に加工又は使用中に伴はれた : 缺點と其の原因(B)
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概要
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金属材料を製造する際又は之を以て、機械、器具及び其の部分品を作るに當つて経験を経た物に於てさへ種々の困難に遭遇するものである。又本邦金属材料工業も近来著しい發達を遂げて、非常に優良な材料が生産されつゝある。然し乍ら、例へば電熱線、安全剃刄製造等に於ても良い物は出来るが、製造の時が違ふ場合には其の質に不同があると言ふ様な事は屡々聞く處である。斯の様に材料の研究と共に之等の優秀な實験室生産品の實用化と言ふ事が取り残された重要な問題ではないかと思はれる。之等の事實を顧る時に、若し吾々が機械、器具の骨子となる金属材料が常に完全に其の機能を發揮し得る爲には、此の内外部に生ずる各種の缺點の原因を知る事が材料の根本的發達を促す上より大切な一務であると信ずる。材料に於ては良品を作る事には何れも努力を惜しまぬが缺點の出来た場合に其の理由の探究の兎角忘れられ勝ちになる事や、例へ探究されても發表されぬ事は遺憾の極みで、此處に材料の實際的發達の禍因があるのではないかと考へられる。即著者は數種の實例を以て此の意味に於ての材料の加工中に生じた缺點に就いて記さうと思ふ。
- 一般社団法人日本機械学会の論文
- 1931-12-01