Candida抗原による遅発型気道反応の機序に関する検討 : 気管支肺胞洗浄所見を中心に

概要

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重症難治性喘息の発症機序を解明する研究の一環として, その病態との関連性が想定されているCandida抗原による遅発型気道反応 (LAR) を有する気管支喘息患者を対象に, Candida抗原の吸入誘発試験を行い, 末梢血中の細胞分類及びleukotrienes (LTs) を経時的に測定し, さらにLARの発現約2時間後 (LAR後) に気管支肺胞洗浄 (BAL) を施行し, 得られたBALF中の出現細胞とLTsを測定した. その結果, 1) Candida抗原吸入後末梢血中好酸球は不変であったが, 好中球及び好塩基球はLARが発現するまで漸増し, LARの発作中には減少する傾向にあった. 一方, LAR後のBALF中には吸入試験未施行で非発作の状態でのそれに比し, 有意な好酸球比率の増加 (p<0.01), 及び好中球の増加傾向が認められた. 2) 末梢血及びBALF中のLTC_4はLAR前に比しLARの際に有意に増加した (p<0.01, p<0.05). しかし, LTD_4は全経過を通じ検出できなかった. また末梢血のLTB_4は好中球の態度と同様にLARに漸増した. 以上よりCandida抗原吸入により惹起されるLARには末梢血から肺気道局所へ遊出したと思われる好中球などの顆粒球が関与し, LTC_4が化学伝達物質の一つとして重要な役割を担っていることが想定された.
日本アレルギー学会の論文
1992-05-30