Epinephrineによるヒトリンパ球の蛍光偏光度変化とPrednisoloneおよびGrycyrrhizineの効果 : 非気管支喘息児と気管支喘息児の差異
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概要
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気管支喘息発症因子の1つとされるβ-adrenergic blockadeの検討と, それにおよぼすprednisoloneおよびglycyrrhizineの影響をみる目的で, 非気管支喘息児と発作時の気管支喘息児末梢血リンパ球のepinephrineに対する反応を, 1973年Cercekらにより報告された蛍光偏光法で測定した.非気管支喘息児10例の測定で, 10^<-4>M濃度のepinephrine処理後のリンパ球は無処理リンパ球に比し, 蛍光偏光度にしてM±SD=-10.0±1.8%の減少を示した.このepinephrineに対する反応性は, リンパ球をあらかじめ10^<-3>Mのpropranololで処理することにより, M±SD=-0.8±1.9%に抑制された.気管支喘息児20例の測定ではM±SD=-0.9±2.2%と減少率が小さく, epinephrineに対する反応性の低下を示し, β-adrenergic blockadeが想定された.また, 気管支喘息児10例の測定で, M±SD=-1.6±1.7%であったが, このリンパ球を10μg/ml濃度のprednisoloneで37℃, 30分間前処理することにより, M±SD=-10.0±1.3%と反応性の回復をみた.さらに, 気管支喘息児10例の測定で, 15μg/ml濃度のglycyrrhizineでの前処理でM±SD=-1.1±2.0%よりM±SD=-9.2±1.7%まで反応性の回復を示した.これらのepinephrineに対する反応性の回復はβ-adrenergic receptorの数的回復によると推測されるが, さらに, 今後の検索が必要と思われる.
- 1982-10-30