抗髄鞘塩基性蛋白抗体の作製とその免疫学的性状
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概要
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髄鞘塩基性蛋白は中枢神経組織の構成蛋白の1つであるが, 実験的アレルギー性脳脊髄炎を惹起する抗原として広く知られている.現在感作動物における細胞性免疫に関しては多数の報告があるが, 液体抗体に関する報告は比較的少ない.本実験の目的は, 抗髄鞘塩基性蛋白抗体の作製と免疫学的性状を明らかにすることである.ブタ脊髄より抽出した髄鞘塩基性蛋白を complete Freund's adjuvant と共に1週間ごとに合計12回ウサギに免疫し, 重層法, Ouchterlony 法, 補体結合反応法により高力価の抗体活性を認めた.しかし, これらのウサギには EAE は発症しなかった.抗血清を Sephadex G-200 カラムにより, IgG, IgM に分画し, 両分画に補体結合反応法で抗体活性が認められた.2-mercaptoethanol 処理により, IgM 分画では抗体活性が消失したが, IgG 分画では不変であった.今回の実験で, 髄鞘塩基性蛋白に対する IgG, IgM 抗体の抗体活性が初めて同時に認められた.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1982-05-30