初期型小児期気管支喘息の臨床的研究
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概要
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夜間あるいは早朝に, 弱いがしかし明らかに笛声喘息を反復して聞くことができるけれども, 自覚的および他覚的呼吸困難症状を認めない症例を初期型気管支喘息と診断し, 131症例についてアレルギー学的検索を行い, 次のような結果を得た.1.初発年令は6才にピークがあり, 定型的気管支喘息と一致していた.2.性別比は, 定型的気管支喘息の比率と一致していた.3.個人および家族アレルギー歴は, アレルギー性気管支炎に比べると差はなかったが, 定型的気管支喘息に比べると低い陽性率であった(p<0.01).4.高調性「ラ」音聴取頻度は, 定型的気管支喘息に比べるとやや低かったが, アレルギー性気管支炎に比べると有意差をもって高頻度に聴取された(p<0.01).5.アドレナリン反応性および FEV_1 の減少率は, 定型的気管支喘息と比べて差はなかったが, アレルギー性気管支炎に比べると高かった(p<0.05).6.末梢血好酸球増多率は3群間に差はなかった.流血中好酸球絶対数増多率は, アレルギー性気管支炎と比べて差はなかったが, 定型的気管支喘息と比べると低かった(p<0.01).7.血清 IgE は, 700unit/ml を越える症例が25例中15例(60%)に認められたが, アレルギー性気管支炎(50%)に比べて差はなかった.8.吸入抗原に対する皮膚反応は, 家塵の陽性率は定型的気管支喘息に比べて差はなく, アレルギー性気管支炎に比べて高かった(p<0.01).その他の吸入抗原については3群間に差はなかった.9.鼻汁および洗浄喀痰中の好酸球出現率は3群間に差はなかった.10.喘鳴の音響学的解析で, 定型的気管支喘息の病極期においては, 振幅の大きい2000c/s 以下の低音性喘鳴と2000-8000c/s の高音性喘鳴が認められたが, これに反して気管支炎では, 振幅の小さい2000c/s 以下の低音性喘鳴が認められた.
- 1977-07-30