レンサ球菌抗原抗体複合物によるマウス糸球体腎炎の研究
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概要
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レンサ球菌感染後糸球体腎炎発病機構解明のための1つの試みとして, レンサ球菌細胞壁の C-多体糖(CH)ならびにペプチドグリカン(PG)を抗原とする可溶性抗原抗体複合物を in vitro で作製してマウスに投与し, 経時的に尿蛋白の測定と, 蛍光抗体法, 光顕および一部電顕にて腎臓の観察を行ったところ, 一部の群に糸球体腎炎の発症が認められた.すなわち, この腎炎発症は PG での可溶性抗原抗体複合物投与群, ないしは PG で前処置したマウスに CH の可溶性抗原抗体複合物を投与した群の2つの群に認められ, 蛍光抗体法等で可溶性抗原抗体複合物によって惹起されたものと考えられる結果を得たが, この際, PG 自身の持つユニークな生物活性もきわめて重要な働きをしているであろうことが示唆された.すなわち今回の糸球体腎炎発症は, PG が第1段階でなんらかの役割を演じ, しかる後に可溶性抗原抗体複合物それ自身による組織障害作用の結果惹起されたものであろうことが示唆された.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1974-04-30