3, 3', 4', 5-Tetrachlorosalicylanilideとタンパク質との光化学的結合について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
光アレルギー反応の特色は抗原形成の過程で光が関与することである.光アレルギー性接触皮膚炎の代表的感作物質である 3, 3', 4', 5-tetrachlorosalicylanilide (T_4CSA) について, その光抗原形成機序を知る目的でタンパク質との光結合物形成の仕方を調べた.T_4CSA は in vitro で長波長紫外線によりすみやかに分解し, 少なくとも4種類の物質を作る.T_4CSA は, ヒト血清タンパク質のうちプレアルブミン, アルブミンおよび α_1グロブリンとに in vitro で光化学的に結合する.また, モルモット表皮可溶性タンパク質と in vivo で血清の α_1 グロブリンに相当するタンパク質と光化学的に結合する.その結合モル比はヒト血清アルブミンに対して 1.8:1 であつた.また結合状態は塩酸グアニジン処理で離れない程度の安定さであつた.両者の光結合に及ぼす pH および温度の影響から考えると, 結合には T_4CSAの側だけでなくタンパク質の側の変化も関係するようである.また T_4CSA が光により分解し, このものが2次的にタンパク質と結合することはなく, おそらく活性化された T_4CSA が直接的に結合するようである.モルモット表皮と T_4CSA との混合物に光照射して得た抗原でモルモットを感作して T_4CSA 光接触感作と同一の結果を作ることができた.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1973-07-30
著者
関連論文
- 3, 3', 4', 5-Tetrachlorosalicylanilideとタンパク質との光化学的結合について
- テルフェナジンのアレルギー性皮膚疾患への臨床評価 : Eosinophil Cationic Protein(ECP) 値との関連性を中心にして
- 掌蹠膿疱症の8-Methoxypsoralen光療法
- 尋常性乾癬の8-Methoxypsoralen光療法