薬剤アレルギーに関する研究 : 主として白血球溶解現象, 蛍光抗原法について
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概要
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近年いわゆるiatrogenic diseaseといわれる疾患が注目されてきているが, その主要疾患の1つとして薬剤アレルギーがとりあげられている.薬剤は最近種類も多くなり, またその使用頻度も増加してきている.そのため薬剤による多彩な副作用, ことにアレルギー反応と思われるものにしばしば遭遇し, 時にはアナフィラキシー様ショックにより不幸な転帰を招くこともある.しかし, 今日に至るまでこのようなアレルギー反応の機序については十分解明されていないようであり, 各種の検索方法が試みられているわけであるが, まだ信頼しうる特異性と簡便性を兼ね備えた方法はないようである.そこで, 今回著者は, 各種薬剤によつてアレルギー症状を呈したと思われる患者を対象として, 白血球が患者血清と薬剤抗原液を添加されることにより溶解するという原理に基づいた白血球溶解現象を試み, また薬剤アレルギーの中でも発生頻度の多いと思われるピラツォーロン系薬剤, サルファ剤について, human serum albumin, あるいはbovin serum albuminをアゾ結合せしめ, これに著者の考案した方法にしたがつてfluorescein isothiocyanateを標識し, 主として間接法で蛍光抗原法の観察をおこない, 薬剤アレルギーに関与する流血抗体の証明を試みた.結果1. 白血球溶解現象では, 90例の薬剤アレルギー患者のうち52例(57.8%)に陽性例を認め, 著者のあつかつた症例中一番多くみられたピラツォーロン系薬剤アレルギー患者の陽生率とほとんど同率であつた.2. 蛍光抗原法は薬剤アレルギー患者と健常人との間にその特異蛍光において有意の差をみとめた.また特異蛍光は細胞質を中心に強くみられ, 一部分細胞膜部分にもみとめられるものがあつた.3. 白血球溶解現象と蛍光抗原法との間には統計学的に有意の相関がみとめられた.4. 薬剤アレルギー患者, 特にサルファ剤, ピラツォーロン系薬剤を中心とした薬剤アレルギー患者の流血中には細胞親和性のあるcytophilic antibodyの存在することが示唆された.
- 一般社団法人日本アレルギー学会の論文
- 1972-04-30
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