気管支喘息の病理学的研究 : 気管支喘息の病理形態像
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概要
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気管支喘息の本態および発作発現機序の解明を目的として, 病理形態学的立場から本症の13剖検例を検索した.症例は発作による窒息死6例, 発作中の合併症による死亡4例, 非発作期に偶発症で死亡したもの3例からなる.発作期に死亡した10例に共通した主要所見は, 1)気管支の〓縮像(気管支平滑筋の肥大と〓縮, 粘膜の規則的ヒダ状隆起), 2)粘液産生亢進像(気管支腔内粘液充填二粘液栓, 粘液腺の腫大と増殖, 気管支上皮の杯細胞様化), 3)好酸球および円形細胞浸潤, 4)基底膜の硝子様肥厚, 5)気腫, 6)気管支動脈の肥厚, 7)肺の自律神経節細胞の腫大および神経突起や線維の肥厚ないし硬化像などであつた.これらの喘息性の病変は, 区域気管支の太さにおいて最も明らかに認められる.上記諸変化のうち, 発作死例に共通した最も特徴的な所見は気管支〓縮像で, 喘息発作の本態は気管支平滑筋の異常収縮にあり, 結局気管支喘息はこの発作を本態とする一疾患単位と考えられた.また肺の自律神経は, 発作の成因と関係し, 著明な粘液産生亢進, 特に粘液栓および気管支壁の細胞浸潤などは呼吸困難ないし発作発現を助長するものと思われる.なお喘息発作死例の直接死副腎, 下垂体の萎縮もまた死因に影響していることは否定できない.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1971-12-30
著者
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