アレルギー性気管支炎(喘息前段階)知見補遺
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概要
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最近呼吸器アレルギー性疾患は増加しつつある.喘息と近縁の疾患であるアレルギー性気管支炎について研究することは, 喘息の前臨床病態を知る上に必須である.この意味から著者は, 当教室久保の診断基準により, 診断し得た117例のアレルギー性気管支炎について検討した.1)本症の喘息に対する頻度は1/5であった.2)本症は, 喘息と同様男児に多かった.3)本症は三病型に分類され, I型は27例, II型は55例, III型は35例であった.4)小児気管支喘息の発見年令のピークは6〜7才にあるが, 本症のI型は4〜5才に, II型は1〜2才に, III型は5〜6才にピークがあった.5)家族及およ既往のアレルギー疾患は, 83.7%に認められ, これは, 本症に, アトーピック素因が強く関係していることを示す.6)メサユリンに対する気管支反応性は, II型が最も過敏であった.7)鼻汁と喀痰中の「エ」好球増多率は, それぞれ64.2%と82.7%であった.8)本症の皮膚反応では, 19.4%がHDに, 12.3%がRWに, 14.9%がASPに, 18.4%がPNCに, 23.7%がALTに, 37.7%がCANDに, 20.2%がCLADに陽性をしめした.そして, 真菌の皮膚反応陽性率は, HDやRWより高かった.9)本症の治療は, 40.6%が特異的減感作療法を, 44.8%が非特異的減感作療法を, 14.6%が対症療法をうけ, 特異的減感作療法を行なったものは, 89.7%に良好であったが, 対症療法では28.5%が良好にすぎなかった.10)HDによる減感作より, 真菌による減感作の方が, 治療効果は良好であった.これは, 本症における真菌の重要性を裏づけるものである.11)小児自然集団を対象として, 真菌の皮膚反応を行ない, candida は他の penicillium と alternaria より陽性率が高かった.12)Candia に対して皮膚反応が陽性のものからは, 陰性のものからより, 咽頭からより高率に candia が培養された.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1971-05-30
著者
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