大動脈壁に含まれるネフロトキシン有効抗原
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概要
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ネフロトキシン有効抗原は, 腎のみならず, 肺, 大動脈その他の全身諸臓器にも広く分布しており, 腎の場合と同様, トリプシン消化により水溶性の形で取り出し得るものであることが知られている.これら諸臓器のうち, 腎・肺についで強い抗原活性をもつ大動脈組織を用いて, その中に含まれるネフロトキシン有効抗原活性について, 酵素消化, Sephadex Xゲル濾過法, ゾーン電気泳動法, 蛍光抗体法などにより検討し, 以下の知見を得た.1) ラット大動脈を4種の酵素により消化して超遠心上清サンプルを作製し, おのおののもつネフロトキシン有効抗原活性を比較した.その結果, 抗原活性の強さは, コラゲナーゼ消化>トプリシン消化>エラスターゼ消化>プロナーゼ消化の順となった.2) 酵素消化, Sephadexゲル濾過法, ゾーン電気泳動法などによる検討の結果, この有効抗原物質は, 腎の場合と同じく, glycoproteinの組成をもつことを明らかにした.3) 蛍光投体法による検討の結果, ネフロトキシン有効抗原物質は, 大動脈においては, 中膜に, おそらく細胞間物質の形で存在することを明らかにした.
- 1971-01-30