糸球体腎炎における扁桃の病理組織学的研究 : 特に原病巣について
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概要
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糸球体腎炎において扁桃と腎との関連を解明するため, 萎縮腎の25剖検例と同一症状で腎生検並びに扁桃摘出術の両者を行なった49例を用いて, 扁桃と腎を組織学的に検索した.生検例の49例の内訳は急性腎炎9例, 慢性腎炎6例, 亜慢性腎炎34例である.摘出扁桃の多数例では扁桃腺窩に種々の程度に急性および慢性炎症像がみられ, 腺窩上皮の消失と炎症性反応および好銀線維の増生を伴った細小血管の増生がめだっている.このような病変は1切片中に1個から6個認められ, 特に亜慢性腎炎の症例には高度なものが多数みられた.それらのうちで扁摘後尿所見に改善がみられた症例ではこれらのFocus病変を1切片中3個以上認める症例が多い.その結果, 著者はこのような病変が糸球体腎炎の原病巣であると考える.しかし慢性腎炎の摘出扁桃にはFocus病変がより少なくなり, さらに萎縮腎になると25例中わずかに3例にしか認められない.一方剖検例の扁桃では全例とも強い萎縮性慢性扁桃炎を呈し, 腺窩の上皮下に細小血管の増生を伴った限局性の瘢痕組織が15例に認められる.従って慢性腎炎, 殊に萎縮腎に認められる糸球体の進行性の線維化はFocus病変以外の他の病因の関与を示唆するものである.
- 1970-07-30
著者
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