アナフィラキシーに関するSerotoninの実験的研究
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概要
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アレルギー反応における病態生理を解明する目的でウサギおよびモルモットの実験的アナフィラキシー・ショックにおける血中および臓器serotonin量を測定し, ショックにおけるserotoninの意義を検討し, さらに栓球からのserotoninの放出状態をもあわせて観察した.1.健常ウサギの栓球, 血漿, 血清serotonin量はそれぞれ平均4.13±1.65μg/g個, 0.67±0.31μg/ml, および9.46±6.70μg/mlであり, 肺および肝の平均serotonin量はそれぞれ1.49±0.55μg/gおよび1.18±0.03μg/gであった.2.ウシ血清アルブミンによる感作ウサギの肺および肝の平均serotonin量は2.09±0.64μg/gおよび1.03±0.14μg/gで, いずれの場合も健常ウサギに比し有意差はみられなかった.3.感作ウサギに抗原を投与し, アナフィラキシー・ショック誘発後, 栓球および血漿のserotonin量を経時的に測定した.血漿serotonin量は惹起注射後15〜30秒で最高値を示し, その後漸減傾向を示した.栓球serotonin量は, 3例は15〜30秒後に他の2例は2分後にそれぞれ最低値を示し, 以後惹干増加の傾向を示した.4.アナフィラキシー・ショック誘発後10分の肺および肝のserotonin量はそれぞれ平均10.76±4.32μg/gおよび2.31±0.41μg/gであり, 肺serotonin量は健常および感作ウサギに比し有意の増加がみられたが, 肝serotonin量には有意差はなかった.5.健常モルモットの平均肺serotonin量は0.32±O.02μg/gで, 感作ウサギ血清により被動感作を行なったモルモットの平均肺serotonin量は0.39±0.04μg/gであり, 感作により有意の変化はみられなかった.6.アナフィラキシー・ショック誘発5分後のモルモットの肺serotonin量は平均0.58±O.17μg/gであり, 健常群に比し有意の増加がみられ, 感作群に比してもかなりの増加がみられた.7.In vitroにおいて, serotonin遊離物質chlorpromazineによる栓球からのserotonin遊離状態を観察した.栓球serotoninはchlorpromazine処理2時間後には処理前の約50%に減少し, 4時間後には約26%に減少した.以上の結果からserotoninは抗原抗体反応の際主として栓球より遊離し, アナフィラキシー症状発現に関与するchemical mediatorsの1つと考えられる.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1970-01-30
著者
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