気管支喘息患者における気道粘膜へのアゼラスチンの作用 : 特にサイトカインmRNAの発現の抑制について
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概要
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アゼラスチンは, 経口抗アレルギー薬のひとつである.経口抗アレルギー薬は抗炎症作用を有するためcontrollerに分類されるが, そのメカニズムについては依然不明である.そこで著者はアトピー性喘息を対象に, アゼラスチンが気管支粘膜に浸潤した炎症細胞に及ぼす影響とサイトカインの発現に及ぼす作用を調べた.方法は, アゼラスチン(4mg/日)3カ月間投薬の前後で気管支鏡にて気管支粘膜生検を施行した.気管支粘膜中の炎症細胞(好酸球, 肥満細胞, マクロファージ, Tリンパ球)を免疫染色し, サイトカイン(interleukin(IL)-4, IL-5)mRNAの発現をin situ hybridization法を用いて調べた.その結果, アゼラスチン投与後は投与前に比べ好酸球数(中央値:46/mm^2から26/mm^2:p<0.01), Tリンパ球数(124/mm^2から70/mm^2:p<0.01), 及びIL-4mRNA(13/mm^2から6/mm^2, p<0.05)とIL-5mRNA(11/mm^2から5/mm^2:p<0.01)を発現している細胞数が有意に減少していた.これらの結果は, 気管支喘息に対するアゼラスチンの作用機序のひとつとして局所の炎症細胞浸潤の抑制によるproinflammatoryサイトカイン産生阻害が示唆された.
- 1998-06-30
著者
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