燃燒ガス量及び空気量の算式
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概要
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蒸汽罐、燃燒炉、内燃機関等の設計や研究に際しては燃料が燃えるには何程の空気を要するか、又燃えた結果何程のガスを発生するかを知る必要がある。これ等の量は燃料の元素分析結果を知れば便覽や教科書に出てるる算式により正確に計算し得る。しかし燃料の元素分析は煩雜で熟練を要するため一般に廣く行なはれてをらず、且又蒸汽罐、就中石炭焚きの蒸汽罐の場合には燃料の種類が相當廣範囲に変化することが予想され、それ等の元素分析結果が設計の當初に全部判つてるることは殆ど考へられぬので、この方法は一般的には実行困難である。それ故燃料の簡單な特性からこれ等の量を算出する必要がある。従耒廣く一般に使はれてるるのは燃料の低位発熱量から求めるRosinの算式であるが、これは全くの実驗式であり、且独逸資料に基づいたものである。併し飜つて考へるに、燃料の発熱量もガス量や空気量と同様に、周知の算式により燃料の元素分析結果から算出し得る。従て発熱量とガス量、空気量とは燃料の組成を媒介として互に関聯してるるのであつて、成分と発熱量及び成分とガス量空気量との関係式から、成分の項を消去しさへすれば、直ちに発熱量とガス量及び空気量との関係式が得られる筈である。以下はこの立場から、発熱量からガス量及び空気量を求める算式を理論的に導く方法を考へ(第2及び3節)、得た算式をRosinの実驗式と比較し(第4節)、木材、石炭及び重油に対する実測値と対比して確かめた(第5節)ものであつて、更に実際の使用の便宜のために計算図表(第9図)をも作製した。
- 1943-04-10