父系出自集団における女性の帰属原理 : 沖縄県東風平町高良の場合
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概要
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沖縄の父系出自集団・門中についてはこれまで数多くの研究が行われてきた。しかし,それらの研究は意識的,無意識的に男性の視点からみた門中構造・原理であり,女性の果たす役割の重要性は指摘されたものの,女性の視点門中構造を見直すという試みはなされてこなかった。本稿は門中構造を女性の視点から再整理することにより,女性にとっての父系出自は男性の場合とどのように異なるのかを分析した。男性から見ると父系出自原理が貫徹している門中帰属も,女性からみると父系出自原理と世代を逆行する<出自>原理(子,特に息子によって決定される帰属)にわけて考えられる。女性はこの異なる原理に基づいて様々な祭祀を行ない,通過儀礼を経ることによって子孫としての存在から祖先としての存在へと移行してゆく。このように,直接に門中構造に結び付く男性と,男性を通して間接的に結び付く女性では異なった父系出自構造が考えられる。
- 1992-03-30