フィジーの一村落における文化の動態
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概要
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本論は,フィジーの一村落における文化の動態について,次の二点を中心に考察をこころみる。その第一は,文化の変容とその担い手たちの自己利益追求との間に,どのようなかかわりがみいだされるのか,という点。そして第二は,文化の動態がいかなるグループの間の,いかなる解釈や戦略が展開される中で生成されるのか,という点である。ここで対象とするのは,フィジーのViti Levu島Vugalei地方の中心的村落Tobuniqioが,60年代から80年代半ばまでにたどった変化である。Tobuniqioは人口114,戸数30(1985年当時)の農村で,チーフのsub-clanをはじめてする5つのclanより構成されている。ここでは村の結束と重要性が弱まる一方で,これを克服しようとする幾つかのこころみがあらわれている。その過程と顛末とたどりながら,上記の論題の検討をおこなうものである。
- 日本文化人類学会の論文
- 1991-03-30