祖父母が営む世代間関係をどうとらえるか : 「個人的選好」としての側面への着目
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概要
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本稿の目的は、現代社会における祖父母のありようを知るための視角と方法を探究することである。日本における祖父母研究の動向をアメリカにおける先行研究と比較検討した結果、以下の2点が指摘された。ひとつめは、祖父母という地位が「役割」として理解される傾向があること、ふたつめは、祖父母と老年者を同一視する傾向が特に強く、祖父母の意志的・能動的な側面に着目する研究に結びつかなかったことである。家族の多様化・私事化・個人化といった変動が、一般論としての祖父母役割の議論と現実の世代間関係のあり方とが必ずしも一致しない状況をもたらしていることは明白である。家族変動を生きる祖父母が営む関係性の実態を知るには、個人という視点からみた祖父母の主観的な選択に着目し、祖父母が相手との交渉を通じて関係を構築していく過程をみていくことが必要と考えられる。つまり、「祖父・祖母であること」は、「役割」(roles )としてではなく、「関係性」(relationships )としてとらえられなければならない。それは、祖父母を受動的な存在として把握するのではなく関係性を構築する主体的存在として把握することを意味する。このとき、「家族ライフスタイル(familylifestyles )」論的アプローチが多くの示唆を与えてくれる。祖父母の生涯発達という視点にたち、祖父と祖母の比較検討をおこなうことに留意しながら祖親性をとらえていくことは、長寿時代における祖父母世代の生き方の新しい方向性を知り、我々が彼らのQOL の向上のために何ができるのか・何をすべきなのかを考えるための基盤となるだろう。
- 独立行政法人国立女性教育会館の論文
著者
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