ヒロコバネ(コバネガ科,コバネガ亜目,鱗翅目)のgerm rudimentの形成および系統学的意義
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概要
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鱗翅目中,最も原始的なコバネガ科(コバネガ亜目)に属するヒロコバネNeomicropteryx nipponensisの胚原基(germ rudiment)の形成を観察した。本種の部では胚盤葉に小円形の胚盤が分化した後,胚盤はその後半部から卵黄中に深く陥入して,袋状の胚原基となる。次いで陥人口が閉鎖すると胚原基は漿膜より離れて完今に部位中に沈むようになる。この胚原基の卵前極に面した部分からは,将来,胚帯が残余の部分からは羊膜が生じてくる。このような陥入を伴なう胚原基形成はコウモリガEndoclyta excrescens(単門亜目)ANDO&TANAKA, 1976)およびヒゲナガカワトビケラStenopsyche griseipennis(毛a翅目,完鬚亜目)(MIYAKAWA,1973)の場合によく似ているが,二門亜目で一般に知られているものとは根本的に異なっている。のような発生早期に現われる特性は,一般に重要な意義を持つと考えられ,原始的鱗翅目と毛翅目との系統関係を考察する際の極めて重要なデータと思われる。
- 日本動物分類学会の論文
- 1978-12-15
著者
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