日本産海浜微小動物相の研究 : II. 伊豆下田におけるTrichoplaxの出現について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
付着生物における相組成の特時空的変遷過程を調べる目的で日本大学能獣医学部所属下田セミナーハウス(爪木崎)前の海水中,筑波大学付属研究センター内と東京港湾内人工凪さにスライドグラスを10枚一組として上・中・下三層に分け懸吊させ1〜3カ月後に回収・検鏡を行なうという作業を毎月1回ずつ行なってみた。その間,昭和51年12月14日に懸吊し2月14日に回収した爪木崎中層からのスライドグラスと5月9日に懸吊し6月中旬に回収した爪木崎中層からのスライドグラス各1枚にTrichoplaxをそれぞれ1個体と3個体見出すことができた。この動物はGRELL(1973)により形態・発生・系統などが詳細に調べられ,その結果クラゲの幼生ではなくPlacozoaに所属する唯一の実在種で,しかも後生物共通の祖先とみなしうることなどが明かにされた。Trichoplax(センモウアメーバヒラムシ:新称)は世界的な珍奇種で飼育用水槽中以外から発見されたのは下田爪木崎が世界では2番目の記録である。
- 日本動物分類学会の論文
- 1977-10-31
著者
関連論文
- 日本産海浜微小動物相の研究 : I. 笠戸島周辺で採集された日本未記録種
- 恩師加藤光次郎博士と分類学
- 日本産海浜微小動物相の研究 : II. 伊豆下田におけるTrichoplaxの出現について
- 都立公園内の池に出現した脱毛・輪毛虫類 : 特に分類学上興味ある属種について
- 日本近代建築運動史上における「創宇壮建築会」の評価 : ソシアリズムとモダニズムの相剋