学習機関別に見た日本の生涯学習の特徴 : 「女性の学習関心と学習行動に関する国際比較調査」から
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概要
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独立行政法人国立女性教育会館が2001年度から2004年度に実施した「女性の学習関心と学習行動に関する国際比較調査」の調査結果のうち、日本の学習機関(女性センター、公民館、放送大学、国公私立大学、専門学校、職業訓練センター)から得られたデータについて、学習機関の種類別に集計を行った結果の一部をまとめた。学習の目的や動機、学習活動への支援や配慮、学習から得られた成果、今後の学習関心などの項目を中心に、回答者の属性や講座の種類などとの関係について言及しながら学習の状況について検討した。その結果は、概ねそれぞれの学習機関の特徴が反映されたものであった。学習の目的や動機、学習から得られた成果、そして今後の学習関心に関しては、例えば、「考える力を向上させる」の項目については、教養系の学習を中心とした学習機関である国公私立大学や放送大学で回答の割合が高かった。「家庭生活や日常生活に役立つこと」の項目については、講座の種類で「趣味、教養に関すること」を学ぶ人が多い公民館の割合が高い。そして、「職業生活に役立つこと」の項目では、専門学校や職業訓練センターの割合が高い。また、学習活動に対する支援や配慮について、女性が学習活動を行う上で、身近な人に支えられているという認識が男性と比べて高いことが分かった。年齢分布で、30代と40代の女性の割合が男性より高く、新卒でしばらく働いた後に、学習活動に参加している人が多いからだと思われる。今後、大学における社会人入学など成人の学習活動の増加が見込まれるが、学習活動がより実りのあるものになるためには、カリキュラムの柔軟性や金銭的援助に加えて、学んだことが社会で評価されるような仕組みの整備が求められる。
- 独立行政法人国立女性教育会館の論文