手指屈筋腱修復術後の成績評価とADL評価についての検討
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概要
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指屈筋腱修復後1年以上経過した患者の術後成績と日常生活動作(以下ADLと略す)での評価との聞に如何なる相関性があるかを知るために,術後1年〜14年8カ月を経過し,何らかの愁訴を有する直接検診した手指屈筋腱損傷71例,長母指屈筋腱損傷16例の計87例を用いて,とれらの症例を単指損傷例,多指損傷例,長母指屈筋腱損傷例の3群に分け,成績評価とADL評価をしその相関について検討した。単指損傷例では採用した各評価法とも共通して成績評価優に属する症例はADL評価でもほとんどが満点であり,反対に共通して成績評価不可である場合はADL評価も極端に悪く成績評価とADL評価の相関がみられた。中でも指尖手掌間距離計測のみで成績を評価する最も単純な計測法であるBoyes法が一番相関性が高く,ADL評価の目安ともなり得る評価法であると思われた。ピンチ力の回復より握力の回復の方がADL評価との相関性がみられた。多指損傷例では成績評価とADL評価の間に相関する傾向はなく,成績よりもむしろ母指損傷合併,損傷区分,神経損傷合併の方がADL評価に及ぼす影響が大きかった。単指損傷,多指損傷とも神経損傷を合併した症例では個々損傷指の成績評価は良くてもADL評価,自覚的評価とも悪く成績評価とADL評価が一致しない。長母指屈筋腱損傷例はIP関節の自動域値に関係なくADL評価は良好であるとの結果を得た。