多孔質ヒドロキシアパタイトセラミックスによる下顎骨再建に関する実験的研究
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概要
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多孔質ヒドロキシアパタイトセラミックス(HAP)を下顎骨欠損部の再建に応用することを目的に,その移植実験を行なった。成犬を用い,下顎骨の下縁を含む頬舌的な骨欠損を形成し気孔率55%の多孔質HAPプロック体を移植,その骨伝導性,HAPブロック体と周囲骨との癒着状態を観察した。また移植したHAPプロックと周囲骨との間隙が骨伝導性ならびに両者の癒着に与える影響も検討してみた。その結果,HAPプロックを下顎骨に移植した場合,移植後1ヶ月ですでに新生骨形成による癒着が認められ,気孔内での骨形成は骨伝導性を示すものであった。しかし,HAPブロックと周囲骨との間隙が大きい部位では両者の間に結合組織が介在しブロック周囲および気孔内での骨形成は妨げられ,その間隙はわずか1mmであっても早朝に結合組織が介在することが明らかになった。またプロックの周囲及び気孔内での骨形成は上方の海綿骨領域で旺盛で,下方の皮質骨で劣っていた。さらに,HAP周囲には骨膜からの骨形成は,認められなかった。以上の結果から,多孔質HAPブロック体を下顎骨欠損部に移植する場合,周囲骨との接触を出来るだけ密にして移植する必要性が示された。また,骨膜と接する部位の骨形成の低下や下顎骨の部位による骨形成の違いも考慮に入れて臨床応用する必要性も示された。