セラミック封着
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概要
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これまで真空管の外囲器としてはほとんどガラスが使われてきたし, 今もなお大部分のものはガラスを使用している. しかしこれはガラスが長年にわたる技術の進歩によって種々の封着用金属や封着技術が発達し, 大量生産によって価格も廉くなり, 加工が容易で気密であって絶縁抵抗もかなり高い, 内部が透視できるなどの点ではこれまでの習慣からすれば, たしかに便利で今後とも大いに使われることと思われる. しかし一面ガラスは脆くて壊れやすい, 熱の急変に対して弱い, 高周波で絶縁がよくない, 安全使用温度が低いなどの欠点があり, 最近発達してきた超短波大電力送信管のような特殊なものになるとその構造材料としてはもはや使用に耐えなくなってきた. たとえばガラスが強力な超高周波電界内におかれた場合に, その誘電体損失のために温度が昇り, ついには軟化して外気圧に耐えなくなり破壊するという具合である. このような高度の負荷と高周波に対する要求を満たすためにはその構造材料としては次のような条件があげられる.(1) 気密であること(2) 高周波においても誘電体損失の小さいこと(3) 安全温度が高く, 熱衝撃に対する抵抗が大きいこと(4) 機械的強度が大きいこと(5) 電気抵抗が高くその温度係数が小さいこと(6) 金属との封着が可能なこと以上のような点でセラミックがガラスに優ることは明らかで, 寸法精度の点でも機械研磨が可能で寸法精度がよくでき形状も割合広い範囲で定められるなどの. 利点がある. なおこの外セラミックを使用すれば真空管の設計上非常に有利となる点が多い. たとえばセラミックは外囲器として絶縁ブッシング型にして使われるのが普通であるが, この場合セラミック自身が治具となり, また金属との封着部分が電極として使用できるなどその構造が単純化され, その設計にも無理がきくので同一出力に対して小型となり超高周波特性も改善される.以上いろいろ述べたような理由でセラミックが使われるようになったが, これはガラスと違ってガス焔で熔かして金属と封着するというわけにはゆかないので, これには新しい独特の封着技術が必要となった.そこで以下セラミック真空管に使用する各種セラミックの諸性質とこれに必要な金属との封着技術や封着機構などについてその概略を述べて見たい.
- 1959-04-01