珪酸三石灰初期水和反応の機構と速度
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概要
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珪酸三石灰 (C3S) と水との混合直後の反応は3つの内容をもち, i) 粒子表面からC3Sが水にcongruentに溶解し, 水溶液はC-S-Hに関して過飽和となってC-S-H (I) を沈殿する, ii) 溶解後C3S粒子表面に3-4分子層の水分子が吸着して表面を準安定化する. この時の吸着熱は530±40erg/cm2, iii) C3S 粒子表面に局所的にC-S-H (II) の核を生成する. 純水の代りに石灰飽和液を用いるとi) の反応は無視できる.その後の “Dormant Period” (誘導期間) 中は, C-S-H (II) の結晶成長が主反応で, この期間の反応率-時間関係は, 水和熱測定, 液相中のCa2+とシリケートイオン濃度の分析および固相の結合水定量結果から, 式 (10) で表わされた. 誘導期間は, 液相のCa2+イオン濃度がCa(OH)2に関する飽和比約2の最大過飽和に到達する時に終わり, 水和反応は急速に進行するようになる. その引金は, C-S-H (II) の成長反応に伴って溶解するCa(OH)2が直ちに, C3S粒子の露出された表面に析出し, 新しいC-S-H (II) の核生成を誘発することにあり, このC-S-H (II) の核生成-成長が増殖的に進むと見なすと, 硬化初期段階までの反応量-時間関係は式 (15) によって表現される.
- 社団法人日本セラミックス協会の論文
- 1975-05-01
著者
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