最近のAE剤使用のすう勢
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概要
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1930年代にアメリカにおいて偶然の機会にAEコンクリートの効果が発見されて、冬期の道路面のスケーリングの難問が解決された。昭和23年わが国にAEコンクリートが伝えられ、25年にはAE剤が生産されて、国鉄や日本発送電の発電所の建設に使用された。そのころ各研究機関の研究結果があいついで発表され、AE剤はその種類により気泡の安定性や大きさの分布が異なり、優良なAE剤は気泡が微細でその直径が20〜250μが大部分を占めていることが判明した。昭和24年、わが国にレディーミクストコンクリート工場が誕生し、30年にはまだ12工場であった苦難な時期を経て、41年末には806工場と驚異的な発展をとげ、全セメント量の34.6%を消費するに至ったが、AE剤も生コン工場の発展とともに打設時の作業性、耐久性、微量で効果のある経済性により使用されてきた。昭和40年度の生コン販売量2800万m^3に対して40〜45%にAE剤が使用されたと推測される。重力ダムのコンクリートについてはAE剤の特長が遺憾なく発揮され130個以上のダムに使用されたが、最近アーチ型ダムにもAE剤単味で使用されて注目されている。現在、道路関係にはAE剤の使用はわずかであるが、最近東名道路の一部に使用されるようになった。砕石や軽量骨材の使用が多くなるにつれAE剤の利用度は多くなる傾向にあり、コンクリートポンプによる輸送にも効果的に使用されている。現在セメント生産量の30〜35%がAEコンクリート(AE剤、減水剤)として消費されていると想定され、今後メーカーの努力しだいで倍増する可能性がある。
- 社団法人日本材料学会の論文
- 1967-08-15