強靭化セラミックスの設計上の進歩 : 複合材料
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概要
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脆性なセラミックスの機械的性能は,その破壊靭性(抵抗)を向上することにより改善することができる.破壊靭性を高めれば,使用中の熱応力による強度劣下,低速亀裂成長,あるいは接触とか衝撃による損傷に対する抵抗が増加することになる.更に,強靱化セラミックスでは破壊強度のばらつきが小さくなる(ワイブル係数が大きくなる)と考えられる.破壊靭性の向上につながる手法としては,相転移強化及び補強強化,の二つが挙げられる.補強強化による手法では,各種の徴構造要素,例えば高強度のホイスカや板状小片,大きな非立方晶のマトリックス粒子,あるいは長尺のマトリックス粒子,を導入することにより,靭性の向上を達成できる.しかしながら,相転移強化あるいは補強強化を取り入れた強靭化セラミックスの設計では,各々の強化機構を左右する材料の性質や特質を吟味する必要がある.強靭化寄与度や実験観察結果の解析により,強靭化効果に対する徴構造及び材料仕様の影響を明確にできる.こうした観察によって,強靭化セラミックス設計の基礎を固めることが可能となる.
- 1991-10-01