陶磁器食器の貫入現象と釉中応力との関係, 及び釉応力の迅速測定法について
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概要
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貫入は食器類ではもっとも重大な欠陥の一つである.貫入発生の主な原因は釉と素地との熱膨張係数の不適当な組合せのために釉中に生ずる応力である.本報告では釉中の応力によって生ずる複屈折を測定することによる磁器釉中の応力の迅速測定法を述べる.測定は偏光顕微鏡下で石英光楔と石膏検板を用いる方法によった.試料食器よりの試片の切り出しには超音波駆動の切り出し工具を用いた.切り出しによって釉中の応力が緩和することのないような寸法をあらかじめ決定した.同一製品中の場所による応力のばらつきを測定し, 製品開発, 生産管理の目的に対しては一試料一試験片の応力測定で充分なことを確かめた.多数の貫入品および無貫入品の釉中応力を測定した.貫入品の釉中応力は常に引張りで, +10〜+500kg/cm^2の範囲にあり, 無貫入品のそれは+200(引張り)〜-1100kg/cm^2(圧縮)の範囲にあることが見出された.無貫入品の圧縮応力は大部分ー500〜-800kg/cm^2の範囲にあった.また国産および外国製食器の釉中応力を測定した.大部分のものは圧縮応力がかかっていたが, 少数のもの, 特にビトリアスチャイナ(vitreous china)のあるものでは多少とも引張り応力がかかっているのものが見られた.
- 社団法人日本セラミックス協会の論文
- 2000-09-01
著者
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