化学溶液法により作製した銅含有シリカ膜の耐腐食性及び抗菌性
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概要
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これまで,ステンレス,アルミニウムやアルミニウム合金の表面処理としてクロメートが用いられてきたが,最近では,クロムが環境に悪い影響をもたらすことよりクロム(Cr^<6+>,Cr^<3+>)フリーの化成処理方法の開発の要求が高まっている.一方,セラミックスコーティングは金属の耐腐食性,耐熱性や耐摩耗性を向上させる有効な手段である.セラミックスコーティングにはプラズマスプレー,陽極酸化,PVDや化学溶液法などの方法があるが,その中でも化学溶液法は最も産業化に適している.なぜなら,多種多様な形状の大面積の表面に対して,均一なコーティング膜が低温において省エネ的に作製できる安価な方法だからである.著者らは環境負荷を与えないエタノールや水を溶媒とした化学溶液を用いて,環境に優しい低温プロセスにより付加価値の高い機能性セラミックス材料の合成を行うための技術開発をめざしている.これまでに,ステンレスやアルミニウム合金等の金属表面上にサブミクロンオーダーの密着性の優れたシリカ膜を作製することにより,金属表面の耐腐食性を向上させることができた.ところで,最近では生活環境に対する感心が高まり,清潔指向や病院における院内感染の防止など杜会において抗菌性に対するニーズが高まっている.抗菌材料は,大きく有機系と無機系に分けることができるが,耐熱性や化学的安定性に優っている無機系材料が注目されている.無機系抗菌剤としては,ゼオライトに銀,銅,亜鉛などの抗菌性を有する金属イオンを坦持した抗菌性ゼオライト,アパタイトを二酸化チタンに被覆したアパタイト付着セラミックス複合抗菌剤などが報告されている.また,ゾルーゲル法を用いて作製した銀とアルミニウを含有するシリカガラスにおいてはAl/Ag≫1とすることにより銀イオンが徐々に放出されるように制御できる.そこで,本研究では耐腐食性を有するシリカコーティングに更に抗菌性を付与することを目的として,抗菌剤として安価な金属である銅を複合化し,低温で作製が可能である耐腐食性・抗菌シリカコーティング技術の開発を行った.
- 2003-09-01
著者
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小野 さとみ
名古屋市工業研究所 材料化学部 材料応用化学研究室
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柘植 弘安
名古屋市工業研究所
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松田 淑美
岡崎国立共同研究機構アイソトープ実験センター
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小川 和男
岡崎国立共同研究機構アイソトープ実験センター
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小野 さとみ
名古屋市工業研究所
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小野 さとみ
名古屋市工研
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