甲状腺剤及び甲状腺摘出のGonadotrophin分泌に及ぼす影響
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概要
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甲状腺機能が生殖に及ぼす影響についての報告は多いがそれらの結果が一致を欠いている.著者は動物実験と臨床実験とにおいて甲状腺摘出, 甲状腺剤, 抗甲状腺剤投与がGonadotrophin(以下Gと略す)分泌に及ぼす影響について検討した.Gの定量法については, FSHはIgarashi-McCann法, LHはOAAD法横田変法にて定量し次の様な知見を得た.I.動物実験では, 成熟雌ラットの甲状腺摘出群で発情間期の延長, 卵巣重量減少, 下垂体前葉中FSH, LH, 血中FSHには有意の変動はみられなかつたが, 血中LHは有意に減少した.これらの結果から, 甲状腺が性腺に関与していることが確認された.次にthyroxine(T_4) 20μg 20日間投与群では性周期不変, 甲状腺重量減少傾向, 卵巣重量増加, 甲状腺組織の機能低下像, 卵巣組織に於ける黄体優位像, FSHは下垂体前葉, 血中ともにやヽ増加を, LHは下垂体前葉中では有意の増加を, 血中でも増加傾向が認められた.次にmethylthiouracil(MTU) 0.5mg20日間投与群では, 性周期不変, 甲状腺重量増加, 甲状腺組織の機能亢進像, 卵巣組織では卵胞形成がやヽ強い傾向がみられ, 下垂体前葉中及び血中FSH, LHは有意の変化を示さなかつた.II.臨床実験では無月経症, 無排卵周期症の患者にtriiodothyronine (T_3)を1日75μg 7日間投与した.排卵例が31例中6例で16.1%に認められたが, 妊娠例はみられなかつた.治療開始直前のBMR, I^<131>uptake, PBIの測定結果では排卵例は正常範囲内にあつた.T_3投与前後の24時間尿中ホルモン値は排卵例ではFSHの増加, LHの減少, estrogenの軽度増加傾向を示した.17-KS, 17-OHCS, cervical mucus(CM)等では一定の傾向はみられなかつた.以上の結果からT_4, T_3, MTUの薬理作用について考察した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-03-01
著者
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