ラット側座核のIPSP に対するアデノシンとカンナビノイドによる脱分極誘導抑制の誘導
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概要
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短時間の脱分極は一過性に伝達物質の放出を抑制する(脱分極誘導 IPSP 抑制:DSI)。最近の研究によればカンナビノイドは海馬 CA1 領域における DSI 誘導に関わる逆行性伝達物質であることが示されている。誘導のメカニズムとしてはG蛋白に結合した過程やN型のカルシウムチャンネルが関与していると考えられている。我々は、海馬・基底外側扁桃体などを含んだ終脳における多くの部位からの入力を統合している場所である側座核において、DSI の誘導を検討した。側座核の水平断薄切標本を用いて whole cell recording を行い、DSI誘導に関する内因性カンナビノイドの影響を調べたところ、選択的 CB1 カンナビノイド受容体阻害薬である 300nM の AM281 が DSI の誘導を阻害した。アデノシンはN型カルシウムチャンネルを阻害することによって伝達物質の放出を抑制することが報告されているが、この効果はカンナビノイドの効果と類似している。それ故我々は選択的な A1 アデノシン受容体の阻害薬である DPCPX を用いて、DSI 誘導に関する内因性アデノシンの効果を調べてみた。その結果、100nM の DPCPX が DSI の誘導を阻害することがわかった。これらの結果から CB1 と A1 受容体活性が側座核における DSI の誘導に関わっていることが示された。
- 2005-02-16
著者
-
加藤 邦夫
高知大学医学部神経精神科学教室
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谷 新医
Norman Bethun医科大学
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藤井 聡
山形大学医学部
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藤井 聡
山形大学医学部器官機能統御学講座神経機能統御学分野
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谷 新医
Norman Bethun 医科大学神経内科
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