癌胎児抗原(Oncofetal Antigen-1)による婦人科悪性腫瘍の予後に関する研究
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概要
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UCLAより提供を受けたUCLA SO-M 14を標的細胞とし,免疫粘着反応により,婦人科悪性腫瘍患者の病態と予後を抗OFA-1抗体との関連において検討を加え,次の結果を得た.1)抗OFA-1抗体は,絨毛癌7例中7例(100%),子宮頚癌56例中21例(37.4%),卵巣癌20例中10例(50%),未分化胚細胞腫5例中5例(100%),外陰癌5例中3例(60%),健康成人42例中5例(11.9%)に陽性であった.2)このうち絨毛癌7例,子宮頚癌工2例,卵巣腫瘍(未分化胚細胞腫2例を含む)10例を継時的にFollow-upした結果,以下の事が判明した.i)絨毛癌7例全例抗体陽性であり,抗OFA-1抗体価が高値を持続するか上昇傾向を示す6症例ではHCG値は,LHレベルに安定し,抗体価の著しい下降を示した1症例では,腫瘍が全身臓器に転移し,腫瘍死に至った.ii)子宮頚癌12例では,9例が抗体陽性で,その内,手術にて摘出された7例は抗体価の著明な変動を示さず,全例生存した.しかし遠隔転移を生じ照射療法を行った2例では,高抗体価を持続し,1例は腫瘍が縮小し予後良好であったが抗体価の下降を示した例は椎骨転移がおこり腫瘍死に至った.また抗体陰性であった3例の,臨床経過は良好であった.iii)卵巣癌10例中6例が抗体陽性であり,特に高抗体価(×512)を示した胎児性癌の1例では,その後,抗体価の著明な低下を示し,腫瘍増大による死の転帰をとった.未分化脛細胞腫2例のうち高抗体価の持続を認めた1例は経過良好で化学療法にて腫瘍の著明な縮小を認めた.また抗体価が低下し,陰性化した1例は,他臓器(肝・脳)転移を来し腫瘍死に至った.以上より抗OFA-1抗体の陰性例,抗体価の安定及び上昇例は予後良好であり,抗体価の低下例は予後不良の経過をとった.
- 1984-12-01
著者
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