Clomiphene citrate二段投与法による臨床成績とその内分泌動態
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Clomiphene citrate(CL)一段投与では無排卵の症例および散発的にしか排卵の認められない症例で,一段投与にて3周期連続して無排卵の症例に対し,一段投与後3週間経過するも無排卵の周期にCLの追加投与(二段投与法)を行ない,その臨床成績及び血中ホルモン動態について検討を加えた.〔1〕二段投与法による排卵誘発成績は症例別では89例中71例(79.8%),周期別では296周期中158周期(53.4%)であった.〔2〕89例中16例に妊娠が成立し(18.0%),流産率14.3%,多胎率7.1%であった.〔3〕CL二段投与時の血中ホルモン動態(1)ホルモン測定を行なった20例のLH,FSH,estradiol(E_2),progesterone(P)のCL投与前値は正常卵胞期前期の平均値と同じレベルであった.(2)LHは一段,二段とCL投与を重ねるにつれ二段,三段投与前値は上昇がみられるが,E_2にはこれがみられない.(3)LH,E_2ともにCL投与を重ねるにつれ,より早期に,より高値を示す.(4)CL投与後のE_2の上昇開始はLHの上昇に先行する.(5)排卵例のLHピークは正常排卵周期のLHピークと同じ程度であり,黄体期のLH値も同じであった.(6)排卵例ではE_2は排卵前,黄体期にいずれも正常排卵周期より有意に高いピークを示した.一方,排卵例のPは正常排卵周期と有意差なく,黄体期のE_2過剰によるE_2,P比の不均衡がみられる.(7)FSH,Pは正常周期と大きな差はみられない.〔4〕以上により,CL二段投与法は,臨床的にもきわめて有用であり,また二段投与の作用機序としてはCLの中枢作用と,卵巣のゴナドトロピンに対する感受性の増強および卵巣への直接作用をさらに強める効果も重要であり,それらにより一段投与のみでは排卵に至らない症例を排卵へと導くと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-06-01
著者
関連論文
- 190. ヒト卵巣莢膜細胞の単層細胞培養法による培養 : 第32群 内分泌 VIII (188〜193)
- 39.体重減少性無月経の統計的・内分泌学的検討 : 第7群 内分泌 I (38〜43)
- 166.排卵性高Prolactin血症の黄体機能 : 第28群 内分泌-臨床 IV (162〜168)
- Clomiphene citrate二段投与法による臨床成績とその内分泌動態