^<99m>Tc-HSA静注法による妊娠末期胎盤血流動態に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
極めて微量の^<99m>Tc-HSAを用いて,妊娠末期の妊婦について,胎盤血流(PBF)を測定し,これが胎盤にとりこまれていくdynamicなprocessをとらえ,胎盤血流動態として分析し,胎盤の病理学的変化とともに解明を行った.1)正常妊娠の陣痛発作時の胎盤血流を測定し,正常妊娠のPBF curve及び陣痛発作時のPBF curveを波型としてとらえ解析した.2)妊娠中毒症のPBF curveをプロットし,細動脈のspasmをとらえ,組織学的に絨毛の硝子化,融合,壊死および動脈の梗塞を証明した.3)胎盤機能不全のPBFでは,build upの不良,build up timeの遅延がみられ,組織学的にも絨毛の融合,壊死,血管の梗塞を証明した.4)胎盤因子による子宮内胎児死亡のPBFでは,虚血を示す胎盤血流の急激な変動を証明した.5)糖尿病合併妊娠におけるPBFでは,大きな波型の変動がみられ,胎盤血流の減少をとらえ,胎盤の病理所見で絨毛の融合,硝子化,壊死を証明した.6)胎盤血流の波型を次の如く4型に分類し,疾患別に各波型の有無を検索した.(1)normal patterm,(2)angiospasm patterm,(3)delayed build-up-patterm,(4)circulation pattern.7)その結果,妊娠中毒症,胎盤機能不全,糖尿病合併妊娠等の異常妊娠に異常波型が多くみられた(p<0.001).
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-06-01