妊娠中毒症胎盤絨毛の立体構築変化に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
妊娠中毒症 (中毒症と略) 重症例の胎盤絨毛を走査電顕にて観察, さらに絨毛血管の鋳型を作成し病型別 (蛋白尿: P type, 高血圧: H type, 蛋白尿+高血圧: PH type, 子宮内胎児死亡: IUFD) に絨毛立体構築変化を比較検討した. また胎盤分葉の絨毛の構成変化を画像解析にて分析した. 一方, 構築の基本となる絨毛血管の変化を透過電顕にても観察した. 1) 走査電顕観察では重症中毒症絨毛は正常例に比し著しく錯綜し, 絨毛表面に皺襞形成の増加を認めた. 終末絨毛は重症化に伴い細小化し, 高血圧合併例にその傾向を強く認めた. 終末絨毛は P type で著しく減少を示した. 微絨毛は H type では短小化や滑生化を示し, P type では細長化と微絨毛同士の癒合も観察された. 2) 分葉を, 母体面, 分葉中央, 胎児面の 3 zone に分割し, さらに絨毛を立体観察で鑑別可能な幹絨毛, 中間絨毛, 絨毛分枝に分類, 各中毒症病型におけるこれら絨毛の構成変化を画像解析にて検討した. 絨毛分枝の平均径は正常例24.8μ, P type 23.1μ, H type 17.9μ, PH type 17.7μ, IUFD 13.8μ で, 絨毛数では, 絨毛が豊富な分葉中央と母体面で, 中毒症例は中間絨毛が正常例の約58%の減少を示し, また P type では絨毛分枝の減少も著明で, 絨毛の高度な不育が示唆された. 3) 絨毛血管鋳型の観察では, H type は血管の細小化が, また P type では血管の減少がより著明であった. 4) 絨毛血管の透過電顕観察では内皮細胞の変化が特徴的であり, 重症化に伴い内皮細胞は血管内腔に突出するごとく増加ならびに腫大し, また細胞内にフィラメントの増加が多く観察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-01-01
著者
関連論文
- 265.骨盤内にみられた悪性神経鞘腫の1例(第59群 総合(神経系腫瘍), 一般演題, 第24回日本臨床細胞学会総会)
- 腎透析症例における巨大卵巣嚢腫の手術経験
- 母児間血液型不適合(ABO型)により反復交換輸血を施行した1症例
- 妊娠中毒症胎盤絨毛の立体構築変化に関する研究
- 122 Parvovirus感染による非免疫性胎児水腫例
- 106.腟壁より発生したClear Cell (Mesonephric) Carcinomaの1例(婦人科, 示説, 第20回日本臨床細胞学会総会抄録)