Calphobindinの生体内分布とその動態
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概要
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当教室で胎盤より分離精製した新しいタイプの凝固抑制物質 (Calphobindin, 以下 CPB と略す) には3種類のものがあり, それぞれ CPB-I, -II, -III と命名された. 今回, 筆者は CPB の抗体を用いた酵素抗体法により CPB の生体内分布を検討し, さらに子宮内膜および脱落膜の細胞培養法を用い, in vitro における CPB の動態を検討し次の結論を得た. a. CPB は胎盤では, 絨毛合胞体層に染色され, 抗凝固作用, 細胞間結合に関する作用を発揮しているものと思われた. また, 子宮内膜では発現がみられないのに対し,脱落膜細胞には染色されたことから, CPB は脱落膜性変化にも関わりを持っているといえる. b. CPB はマクロファージに属する肺胞大食細胞, 脾臓の大食細胞に染色され, 同属蛋白である lipocortin と同様, CPB もマクロファージと関連するものと思われた. c. CPB は膵臓のランゲルハンス島や, 副腎髄質の神経節細胞に染色され, 類縁蛋白である calelectin と同様に, 分泌機構に関与すると考えられる. また, 前立腺の腺管上皮, 胆管上皮, 膵管上皮, 尿細管上皮などの腺管上皮に CPB の染色性が認められ, 腺管の通過性維持に関わると推定された. d. 腹水中の中皮細胞にも CPB の局在があり, 癌性腹水での CPB 高値の理由は中皮細胞によると思われた. e. CPB はそのほとんどが細胞内に存在し, 細胞破壊によって放出された. 法医屍体血で CPB が高値を示したのも, この理由によると思われた. f. Progesterone や, dexamethasone の24時間の添加では CPB 濃度の変化はなく, lipocortin との相違が示された.
- 1991-01-01
著者
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