胎児心拍数パターンからみた睡眠覚醒リズムに関する研究
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概要
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新生児の睡眠・覚醒リズムと心拍数パターンの関連を明らかにした. その結果から胎児についての心拍数パターンと睡眠・覚醍リズムの関係を検討した. まず, 新生児について, 脳波, 呼吸, 眼電位図および種々の体動で判定した睡眠・覚醒レベル(静睡眠期, 動睡眠期, 不定睡眠期, 入眠期および覚醒期)を同時に記録した心拍数パターン(新生児rest, active, awakeおよびunclassified phase)と比較した. 修正妊娠週数33〜36週および同37〜40週における新生児rest phaseと静睡眠期の一致率は高く, それぞれ71.9%および83.8%であつた. その他の三つの心拍数パターンでは, 動睡眠期, 不定睡眠期, 入眠期および覚醒期が混在し, 両者の一致率は低かつた. ついで, 妊娠24〜41週の妊婦に対して連続3時間のNSTを行い, 妊娠週数と心拍数パターン(胎児rest, activeおよびunclassified phaseの三相に分類し1分ごとに判定)との関連を検討した. その結果, 妊娠30週以降では胎児の心拍数パターンに二相性がみられた. Rest phaseは妊娠30〜33週では約半数に, 34週以後では全例に存在した. また,胎児rest phaseの占める割合は妊娠の経過とともに増加し(30〜33週 12.3%, 34〜41週 25.4%), 相対的にactive phaseは減少した(30〜33週 77.1%, 34〜41週 66.7%). Rest phaseの持続時間は妊娠の経過とともに長くなつたが(30〜33週 16.1分, 34〜41週 20.9分), active phaseでは変化がみられなかつた(30〜33週 44.9分, 34〜41週 44.3分). 以上より, 胎児rest phaseは, ほぼ新生児における静睡眠期に一致し, それは, 胎児中枢神経系機能の指標となることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-09-01
著者
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