子宮頚癌進行度評価におけるX線CTの役割
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概要
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子宮頚癌症例132例に対しX線CTを施行し, (1) 子宮頚部陰影の拡大, (2) 子宮頚部陰影内のlow density area (LDA), (3) 壊死性空洞, (4) 子宮留膿症, (5) 子宮頚部陰影の不整・不明瞭, (6) 子宮傍組織陰影, (7) 腟方向への進展, (8) 膀胱方向への進展, (9) リンパ節陰影の拡大の9項目のCT所見評価を行った。さらに手術治療例では術中・病理所見, 放射線治療例では治療後のCT所見との比較検討を行い以下の知見を得た。1) 子宮頚部陰影の面積 (S) は実測した癌腫の直径が2.0 cm未満群S=11.72±4.68 cm^2 (X±SD, 以下同様), 2.0 cm以上群S=16.06±5.37 cm^2と有意差 (p<0.01) が認められ, S>12.6 cm^2を頚部陰影拡大とした。2) 所見 (2) 〜 (4) は子宮頚部における癌腫の発育を示し, 頚部陰影拡大の所見に加味すれば, 子宮頚部に進行癌病巣が存在するとの診断は94%の症例で可能であった。3) 所見 (5) 〜 (9) は癌の子宮周囲への進展に伴い出現し, (1) 〜 (4) の所見に比しstageが高いものに認められた。4) 傍組織浸潤評価に関するCTの精度は手術的に確認した傍組織176側でsensitivity 58%, specificity 90%, accuracy 83%であった。5) CTは腟表面より腟傍結合織への浸潤や膀胱方向への進展などの検索にも有用であり, 手術例における膀胱浸潤判定のaccuracyは96%であった。6) 最大径2.0 cm以上のリンパ節陰影を所見陽性とした場合, 手術的に確認し得た89例におけるリンパ節転移の診断精度はspecificity 100%, accuracy 88%と高値を示したが, sensitivityは29%であった。以上よりCTは従来の検査法と併用することにより, 子宮頚癌の進行度の評価をより高い精度で行いうることが明らかとなった。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-03-01