絨毛内胎児毛細血管内皮細胞のmicrofilamentと中間径filament : 超微形態学的ならびに免疫組織化学的研究
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概要
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正常妊娠初期・中期・末期のヒト胎盤絨毛55例, 妊娠中毒症の胎盤絨毛25例につき, 胎児毛細血管内皮細胞を超微形態学的に観察し, さらに, 光顕および電顕的な免疫組織化学的検索手技を用い, 以下の結果を得た。1. 胎児毛細血管内皮細胞のmicrofilamentはactinで, 中間径filamentはvimentinであることが強く示唆された。2. 妊娠ごく初期 ( 6週) で, 胎児毛細血管内皮細胞は, ごくわずかではあるがすでにactinおよびvimentinのfilamentを有していた。3. 超微形態学的検索では, 妊娠週数が進むに従い, actinとvimentinの量は増加する傾向にあった。4. 免疫電顕法により, 内皮細胞細胞質内のfree ribosomeにDAB反応産物の集積を見ることからvimentinはその部で産生されることが示唆された。さらに, いまだfilamentを構成するに至っていないvimentinが, 細胞内には存在する可能性があると考えられた。5. 検索した25例の妊娠中毒症症例全例で, 内皮細胞のvimentinは増加する傾向にあったが, actinの増加は認められなかった。以上の結果から, 正常妊娠の絨毛における胎児毛細血管内皮細胞のmicrofilamentと中間径filament は, 協調して胎盤内の胎児微小循環を促進するように働くが, 妊娠中毒症の絨毛では, 増加した中間径filamentにより内皮細胞の正常な運動が妨げられ, 血管抵抗が増加している可能性が示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-03-01
著者
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