一重螢光顕微測光法による子宮内膜癌細胞の核DNA量及び細胞蛋白量に関する研究 : 特にゲスターゲソ投与例の検討
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概要
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子宮内膜癌のゲスターゲソ療法における組織学的研究は数多く報告されている。本研究では細胞機能の観点から内膜癌細胞の核DNA量とともに細胞蛋白量を螢光二重染色法を用いて顕微測光し、ゲスターゲン投与前後のDNA-protain ヒストグラムを作成するとともに光顕的形態変化と対比検討した。対象は子宮内膜癌症例31例、正常子宮内膜症例9例で、内膜癌患者にゲスターゲンとしてmedroxy-progesterone-acetate840mg〜11,200mg投与した。投与前後に採取した細胞にpararosaniline-Feulgen並びにNinhydrin-AcriHavine反応の染色後、溶射型螢光顕微鏡にて顕微測光し以下の成績を得た。1)正常子宮内膜では増殖期、分泌期ともに大部分の細胞はDNAが2Cから4C、proteinが2Pから4Pを示す分布パターンで、4Cまたほ4Pを超えて分布する細胞の比率は、増殖期で平均2.6%、分泌期で5.8%と低率を示した。2)子宮内膜癌31症例ではDNAが4Cあるいはproteinが4Pを超えて分布する細胞の割合は、25.5%〜78.0%(平均57.9%)と増加し、ヒストグラムでは組織分化度が低分化型ほど幅広いDNA-proteinヒストグラムを示す傾向が認められた。3)ゲスターゲン投与により組織学的に著効を示したのは31例中11例であつたが、その内訳は分化型腺癌9例、中分化型腺癌2例で、低分化型腺癌では無効例が多かつた。4)組織学的に著効を示した11例中8例では、ゲスターゲソ投与後のDNA-proteinヒストグラムに変動が認められ、組織学的な分化の誘導とともにDNAの2C域への集中とproteinの増加傾向が認められた。5)投与前のヒストグラムよりDNAが4Cまたはproteinが4Pを超えて分布する細胞の比率は著効例では平均45.1%、有効60.7%、無効69.2%で無効例ほど高率を示し、ゲスターゲン療法の有効性とDNA-protein ヒストグラムの関連が示唆され、投与前にこのcellpopulationを検討することは臨床上有益であると考えられた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-05-01
著者
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