Graphic Reconstructionによる子宮頚部微小浸潤癌の組織学的検討
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概要
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上皮内癌より微小浸潤癌への進行実態と両者の具体的関連性を知る目的で、微小浸潤癌37例(Ia期、31例、浸潤深達度5mm以内の融合浸潤例6例)にgraphicreconstructionを試みた。0期の上皮内癌が示すgraphicreconstruction像との比較検討により、0期よりIa期への移行伸展に関して従来の記載には全く見当らぬ成績と進行過程に新たな観点を提供し得る知見を得たので、その概要を報告する。1.上皮内癌より進行したIa期は1/37例(2.7%)のみで、微小浸潤癌36/37例は0期の上皮内癌が示す病巣形態とは全く異なつていた。2.微小浸潤癌の上皮内癌域はS.C.J.に平行する横走性非薄帯状伸展が第一の特徴で、arborbitaeに波及すればその表層を伸展して分枝状病巣となり、更に散在性に腺置換巣より微小浸潤が多発すれば複雑な多分枝融合巣を呈した。3.微小浸潤癌の上皮内癌域が示す横走平行性分枝病巣の程度より、非分枝性11例、分枝性15例、および多分枝性7例、計33例を帯状型に一括し多発型3例とに分け、帯状型33例を検索対象の主体とした。なお多発型3例は何れも分枝性帯状型で構成されていた。4.腺置換巣より微小浸潤を認めるIa期癌は28/33例(84.8%)で、病巣占拠範囲が円柱上皮域内のみのIa期例が17/33例(51.5%)を示すことなどより、頚管腺cleft(導管相当部分)開口下域よりの発生が示唆され、この点もIa期の特徴にあげられた。5.各群各型の示す腺置換巣総数に対する微小浸潤巣数の比率を比較すると、多分枝性例ほどその比率は低下するので、浸潤開始は他群に遅れ進行速度は緩慢と解された。6.表層上皮域の上皮内癌より微小浸潤を認める例は9/33例(27.3%)で、6/9例は融合浸潤を示し、また5/9例は腺置換巣よりの微小浸潤を伴わぬので、この5/33例(15.2%)は表層上皮およびcleft開口境界域よりの発生が考慮された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-03-01