胎児心拍数sinusoidalpattemの臨床的検討とその成因に関する実験的研究
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概要
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胎児心拍数基線上で正弦波様振動波形を示すsinusoidalpattem(SP)と、それによく似た波動状心拍数変化(wavypattem、WP)を選びだし、パーソナルコンピュータを利用して波形の分析を試みた。症例は22例を選択した。この内、前田のSP暫定基準に合致したものは、8例であった。また、動物実験によるSP発生を試み、検討した。1.平均振幅は、SP例でWP例よりやや大きい傾向にあったが、有意な差を認めなかった。平均周波数も同様に有意差を認めなかつた。2.振幅と周期の変動係数については、SP例がWP例より低値を示した。3.sinusoidalpattemindex(SPI)は、SP例で22以上、WP例で21以下であり、SPIでSP例とWP例を区別できた。4.SP例とWP例を妊娠中の発生と分娩時の発生に分け、振幅、周波数を比較したが、有意差を認めなかつた。5.予後の検討では、SP例に胎内死亡、新生児死亡など予後不良例を多く認め、また、胎児仮死など分娩経過の異常例も多く認めた。6.発生時期別の予後検討では、妊娠中の発生に、SP例、WP例ともに妊娠、分娩経過の異常が多く、分娩時発生例では、全例予後良好であつた。7.動物実験では、低酸素負荷群3例、脱血負荷群7例、同時両方負荷群7例を検討した。8.SP発生は、脱血と低酸素同時両方負荷群7例中5例に認めた。9.血圧測定を同時施行した例では、SP発生中に20mmHg前後の低血圧を認めたが、心拍数と血圧の変化は非同期性であつた。10.SP発生には、貧血と低酸素症の同時関与が考えられ、その発症には、低血圧下での延髄の循環調節機能不全が考えられた。
- 1986-03-01
著者
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